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2026年5月に最も大きく動く可能性がある通貨ペアとその理由は?
The Editorial Desk
26/4/2026
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2026年5月を迎え、世界の外国為替市場は困難な綱渡りを強いられています。4月は「文明を終わらせる」ような最後通牒と、パキスタンの仲介による停戦合意に翻弄され、ブレント原油価格は1バレル110ドルから90ドル台半ばまで乱高下しました。

トレーダーにとって重要なのは、イラン紛争を巡るパニックのピークは過ぎたものの、それが構造的な体制転換に取って代わられたという点です。市場は今、「戦争プレミアム」から「移行プレミアム」へと移行しつつあるのかもしれません。

5月中旬にケビン・ウォーシュ氏がFRB議長に指名される見通しであること、そして日本銀行(日銀)が160.00円近辺という歴史的な壁を前にしていることから、ニュースの見出しに見られる平穏さは、世界の利回り格差の大きな再評価を覆い隠している可能性があります。

ドル指数(DXY)の環境

「ウォーシュタカ派路線」の下限を背景に100.00付近を維持

月間 最強通貨

米ドル(USD)— 有事の回避需要と金利優位性が下支え

月間 最弱通貨

日本円(JPY)— 内外金利差とエネルギー輸入コストが打撃

中央銀行の主要テーマ

タカ派的据え置きとFRB新執行部への移行

今後の主要カタリスト

豪RBA金利発表(5/5)および 米雇用統計(5/8)

月間リーダーボード — 通貨強弱ランキング
01 USD
有事の安全資産(セーフヘイブン)需要と「長期金利高止まり」観測を追い風に急上昇。
最堅調
02 CHF
中東リスクを回避する欧州で最も選好される避難通貨として力強く上昇。
避難通貨
03 AUD
まちまち(拮抗)。国内エネルギーインフレの上昇とタカ派なRBA姿勢の狭間で揉み合い。
拮抗・保合
04 NZD
下落圧力。金利差の縮小と資金流出が引き続き主要な下落シナリオ。
軟調
05 JPY
約20ヶ月ぶりの安値圏へ下落。拡大する内外金利差とエネルギー輸入コスト高が深刻な重荷。
最脆弱

最も上昇した通貨:米ドル(USD)

米ドルは新たな重石を抱えて5月を迎えました。停戦によってパニック的なヘッジの必要性は減退しましたが、インフレタカ派として広く知られるケビン・ウォーシュ氏の指名が、米ドルの構造的な下支えとなっています。

市場は、FRBの独立性の変化と、より厳格なインフレ目標設定へのアプローチを先取りしている可能性があります。政策レベルでの信頼できるタカ派のシグナルは、短期的なデータがまちまちであっても、米ドルを支える傾向があります。

相場を動かす主な要因(Key Drivers)

  • ウォーシュ効果: 市場はFRB(米連邦準備理事会)の独立性の変化と、インフレ目標達成に対するより厳格なアプローチを先回りして織り込みつつあります。
  • エネルギー耐性: 純輸出国である米国は、欧州や日本と比較して、不安定な停戦交渉に伴う原油価格の再高騰リスクから保護されやすい構造にあります。
  • 金利の下限支持: 3.50%〜3.75%に位置する米FF金利は、世界的な投資資金を引きつける引き続き強力な磁石(強力な利回りインセンティブ)となっています。

市場が次に注視するポイント(What Markets are Watching Next)

トレーダーは米ドル指数(DXY)の101.00レベルを注視しています。この高出来高ゾーンを持続的に上抜けた場合、主要な上昇トレンドの再開を示唆する可能性があります。一方、5月8日発表の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が予想を下回る軟調な結果となった場合、その強気シナリオが試されることになります。

最も下落した通貨:日本円(JPY)

2026年に苦戦する通貨を設計するとすれば、まさに円がその条件に当てはまります。「トランプはいつも最後にはひるむ」という「TACO」シナリオが株式市場にいくらかの安堵感をもたらしたものの、円にかかる数学的な圧力は依然として甚大です。

日銀は長期的な金融緩和からの慎重な出口戦略を続けていますが、そのプロセスは多くの予想よりも緩やかなものとなっています。USD/JPYペアは米長期金利に対して特に敏感であり、米10年債利回りが4.5%を超えれば、日銀に対してさらなる行動を迫る圧力となる可能性があります。

相場を動かす主な要因(Key Drivers)

  • 絶望的な金利差: 仮に日銀(BOJ)が追加利上げを行い政策金利を1.00%まで引き上げたとしても、米ドルとの金利差は約275ベーシスポイント(2.75%)残ることになり、キャリートレードの魅力を維持させる要因となります。
  • 輸入構造の脆弱性: 中東産原油への依存度が高い日本は、原油価格が1バレル=93ドル近辺で推移したとしても、エネルギー輸入コストが引き続き経常収支の重荷となります。
  • 介入慣れ・疲弊感: 片山財務相(財務省)は「断固とした措置(果断な対応)」を警告していますが、2022年や2024年の過去の覆面・為替介入効果も一時的な下押しにとどまる傾向がありました。

戦略的見通し(Strategic Outlook)

ドル円(USD/JPY)は159.80円近辺で推移しています。過去35年間にわたり破られていないとされる160.40円付近の歴史的上値抵抗線(レジスタンスライン)が、引き続き市場の最も重要な攻防ライン(主戦場)となっています。

注目の通貨ペア:AUD/USD

豪ドルは興味深い分岐点に立っています。

オーストラリアのインフレ率は他の先進国よりも根強く、オーストラリア準備銀行(RBA)は慎重かつ高金利を維持する姿勢を継続する可能性があります。これは、すでに利下げを行っている他国の中央銀行には見られない、豪ドルにとっての潜在的な利回りサポートとなる可能性があります。

豪ドルを支える要因

同時に、豪ドルは依然としてコモディティ市場と中国の需要に大きく左右される状況にあります。

鉄鉱石と銅はオーストラリア経済にとって不可欠な要素です。世界的な需要が安定していれば、豪ドルはさらなるサポートを得られるでしょう。中国の産業データにおけるいかなる変化も、この通貨ペアにとって重要なシグナルとなります。

EUR/USDの比較

EUR/USDの動向にも注目が必要です。

欧州中央銀行(ECB)は、冷え込む経済と域内のインフレ目標との間でバランスを取っています。ドイツの成長鈍化はユーロ圏にとって懸念材料であり、市場は米欧の金利差を縮小させる可能性のある利下げを織り込み始めています。

この変化により、ユーロは米ドルに対して軟調に推移する可能性があります。欧州連合(EU)内の政治情勢、特に財政面での意見の相違は、この通貨ペアのボラティリティをさらに高める要因となり得ます。

今後の注目データ

以下の4つのイベントが、明確なカタリスト(相場変動のきっかけ)として注目されます。それぞれが金利見通し、ひいては 外国為替証拠金取引(FX)に直接的な影響を及ぼす経路となります。

05
5月
豪準備銀行(RBA)政策金利発表
豪ドル関連通貨ペア, ASX 200指数 · AEST 午後2:30(日本時間 午後1:30)

国内インフレの粘着性が続く中、市場は4.35%への追加利上げ確率を74%と織り込んでいます。この結果は今後数週間にわたる豪ドル(AUD)のトレンドを大きく左右する可能性があります。

08
5月
米 雇用統計(非農業部門雇用者数・NFP)
米ドル関連通貨ペア, 金(ゴールド) · AEST 午後10:30(日本時間 午後9:30)

2ヶ月連続で下振れとなった場合、新体制へ移行するFRB執行部にとって波乱のシナリオとなり得ます。NFP報告は米国労働市場の健全性を最も明確に示す指標です。

12
5月
米 4月度 消費者物価指数(CPI)
ドル円(USD/JPY), ユーロドル(EUR/USD) · AEST 午後10:30(日本時間 午後9:30)

4月の原油価格高騰が、コアサービスや粘着性の高いインフレ項目へ波及したかを確認する初の重要データ。今四半期残りのFRBのトーンを決定づける可能性があります。

20
5月
NVIDIA(エヌビディア)第1四半期決算発表
米テック株, AIインフラ関連 · AEST 朝方(日本時間 早朝)

AIインフラ需要の「収益化フェーズ」と株式市場全体のリスクオン心理(リスク許容度)を測る重要指標。豪ドルやNZDなど、リスク連動型通貨にも影響を与える可能性があります。

注目すべき水準とシグナル

  • ドル/円(USD/JPY): 160.00円

    日本の財務省(為替介入)が防衛線を敷く可能性が高い心理的節目。過去において、この水準付近での介入実施または牽制発言は、当ペアの急激な反落・反転をもたらすトリガーとなってきました。

  • 豪ドル/米ドル(AUD/USD): 0.7000

    2025年の貿易摩擦局面において強力なピボット(転換点)として機能した心理的節目。短期的なポジショニングの方向性を探る上で重要なレファレンス水準です。

  • ブレント原油先物: 92.13ドル

    テクニカル上の重要な抵抗線(レジスタンス)。ここを下抜ければ地政学的リスクによる下値支持が弱まったことが確認され、エネルギー輸入国の下押し圧力が和らぐ可能性があります。

  • 米国10年債利回り: 4.5%

    この水準を明確に上抜けた場合、景気連動型・成長型通貨ペア(高金利・リスク通貨)やエマージング(新興国)市場資産のバリュエーションに重大な調整圧力を与えるリスクがあります。

総括(Bottom Line)

5月へ向けた為替市場の値動きは「正常化の罠(トラップ)」によって形成されつつあります。市場参加者はエネルギーショックのピークアウトを織り込み始めていますが、タカ派姿勢を示すFRB新執行部への移行は、依然としてイールドカーブを再びスティープ化(長短金利差の拡大)させる可能性があります。

今後の相場変動は引き続き各種経済データに強く依存し、中東情勢の地政学的シフトが翌セッション開始前に市場にギャップ(窓開け)を生じさせるなど、急な地政学的ヘッドラインに対して極めて高い感応度を維持する見通しです。

5月の外国為替市場は、「正常化の罠」によって形作られています。トレーダーはエネルギーショックの最悪期は脱したと見ているかもしれませんが、FRBのタカ派的な指導体制への移行が、再びイールドカーブをスティープ化させる可能性があります。市場の動きは引き続きデータ次第となる公算が大きく、中東情勢によるオーバーナイトのギャップにも敏感に反応するでしょう。地政学的な変化は、翌セッションの開始前に市場を急変させる恐れがあります。

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